西山一中央油帯および片貝ガス田における流紋岩質貯留岩の二次孔隙と変質作用について

摘要

島弧の火山岩層は部分的ながらその多孔質な特徴から石油天然ガス鉱床の貯留岩として重要な位置を占めている。火山岩貯留岩の岩種は酸性火山岩から塩基性火山岩まで幅広く認められ,またそれらの産状や岩相,および岩体の規模や形状も変化に富み，孔隙の形態も多様である。これまでの火山岩貯留岩の孔隙に関する研究では，初生孔隙の特徴と変質作用などに起因する二次孔隙の特徴（佐藤，1984），変質岩の特徴と孔隙分布（内田，1984；星ほか，1992；川本，2001），および孔隙の形成と変質作用の役割（大久保，2001；八幡ほか，2007）について報告されている。これらの研究の中で変質作用に伴う溶脱孔隙の形成について認識され，その形成に海水起源の熱水の関与が大きい点（大久保，2001）などの理解は進んでいるものの，溶脱過程についての見解は必ずしも一致していない。