実坑井データを用いた傾斜坑井の掘屑運搬挙動と等価循環泥水比重のシミュレーション

摘要

大偏拒坑井や傾斜坑井の掘削では，適切なホールクリーニングの実現と等価循環泥水比重（ECD；equivalent circulating density）の管理が重要な課題である。不十分なホールクリーニングは，掘管の抑留や高トルク·ドラグ，泥水ポンプ圧やECDの増大などの掘削トラブルを引き起こす原因となり得る。一方で，大偏拒坑井や傾斜坑井の掘削においてはさまざまな要因によってECDが増大する傾向にあり，これによって逸泥や地層の破壊，さらにはそれに付随する油層障害といった問題が引き起こされる危険がある。加えて，掘削時に発生するECDの変動が地層へ繰り返し負荷を与え，疲労破壊による坑壁不安定を招く危険性も指摘されている。