硝酸溶液からの貴金属の分離と回収

摘要

貴金属は，その電気的，機械的，化学的特性に優れており，様々な電子材料，機能材料，生体材料さらには触媒等に用いられる。貴金属はそれ自身が持つ材料価値に加え，希少な資源循環の観点からもリサイクルされることが多い。一方で貴金属の用いられる分野も多岐にわたり，その回収物の組成，形状，形態はさまざまな様相を呈している。貴金属のリサイクリングは，経済活動の一環として行うため，回収依頼を受けたものに対して，貴金属の含有量の正確な評価が必要となってくる。依頼されたものは多種多様なものがあり，貴金属含有量の評価が容易にできないものもある。例えば，有機物でモールドされ，そのままでは溶解できないもの，耐食性に優れた材料であるがために酸，アルカリにそのままでは溶解できないもの，貴金属や酸化物ならびにセラミックが混在し，溶解を妨げるようなものが挙げられる。