芳香族ジアミン類によるシアネート樹脂の速硬化と各種ノボラック型シアネート樹脂の開発

摘要

1，1－ビス（4－シアナトフユニル）エタン（E－CN）＋シリカフィラー含有の薄膜系において，ビス（3－アミノフユニル）スルホン（3－DDS），1，3－ビス（3－アミノフエノキシ）ベンゼン（APBN），及び，1，3－ビス［2－（4－アミノフユニル）－2－プロピル］ベンゼン（BAM）等の芳香族ジアミンを用いると，速硬化が可能であり（200～220℃，数分で固められ），かつ，T_g≧220℃，引張せん断接着強度10MPa前後を有する硬化物を得られることが明らかとなった。芳香族ジアミンの中で硬化挙動を比較すると，塩基性度が高い（pK_bが低い）ほど，硬化触媒作用が強い傾向であった。一方，アセトアルデヒド／フェノールを出発原料としたノボラック型シアネート（E－CN－M）は，ホルムアルデヒド／フェノールを出発原料としたノボラック型シアネート（NVCN）に比べ，低分子量領域（重量平均分子量M_w＜1000）においては，低粘度で取扱性に優れ，かつ，その硬化物は耐熱性及び長期耐熱性も高いことが明らかとなった。また，ノボラック型シアネート中のメテレン鎖にフラン環を導入することにより（FPRCN），長期耐熱性が高まった。