日本の医療機器を世界に

摘要

常勝を宿命づけちれたある野球チームは、外から選手をかき集めて戦力不足を即座に補強しようとする。だが、時間をかけて生え抜き選手を育成しなければ、いずれチーム力の衰退は免れまい。対策は短期と長期のバランスが大事なのだ。同様なことは、日本の医療機器産業の競争力強化についても言うことができる。海外展開を目指す日本の医療機器メーカーはBRICs諸国やASEAN、中東、中南米といった拡大する新興市場の開拓を急ぐ。各回の医師が日本企業の製品に信頼を寄せ、憧れを抱いている間が絶好の開拓の機会である。同時に忘れてならないのは、市場として、また世界で使われる医療機器のトレンド発信地としての欧米市場の重要性である。先進国市場は強者の欧米企業が既に開拓済みであり、これを切り崩すのは長く、骨の折れる取り組みだろう。だが、この挑戦が世界に通用する常勝軍団の基礎を築く。