潤滑管理/軸受·回転機械管理：設備メンテナンスにおけるトライボロジーの経済効果

摘要

産業界において、メンテナンスは生産や品質を支える重要な役割を果たしてきたことは間違いないが、経営者や世間一般から見たときにはマイナーな存在であったことは否めない。 また、原発トラブルや大規模製造所の火災の時のように、重大事故の場合にマイナス面で注目されてしまう。メンテナンスの重要性およびトライボロジーの役割が広く理解されるにはどうすべきかという課題に対して、日本トライボロジー学会では、メンテナンスアクションプラン研究会、メンテナンストライボロジー研究会などを中心に常に議論されてきた。 特に前者においては、メンテナンスおよびトライボロジーの認識を高めるためのアクションプランとして、資格認定制度とともに経済効果のアピールという課題が取り上げられ、事例検討や議論がなされている。 こうした動きにも見られるように、メンテナンスにおいてその経済効果を具現化し明確化することは、我々メンテナンス従事者自身にとっても、今後ますます重要となってくる。本稿では、製鉄所における経済効果の発揮事例を紹介することを通して、トライボロジーをベースとしたメンテナンスの現場活動や技術開発によって経済効果をどう具現化し、主張すべきかの参考になれば幸いである。