自動車のトラボロジー：シャシ·動力伝達編－オイルシールリップにおけるμ-V特性の計算

摘要

オイルシールのリップ面と軸間の油膜が切れてドライ接触を生じた場合、発音現象が発生することがある。 本稿では、この発音現象を採り上げた。もしリップにドライ状態の領域を生じ、さらにすべり速度Vの増加に応じて摩擦係数μが減少するような（μ-V特性曲線の勾配が負の）条件下では、スティックスリップが起こりやすく、スティックスリップは発音を生じさせることが知られている。 しかし試験片によるゴム物性データからμ-V特性を予測する方法がないため、現状の製品開発時には、実際の製品を試作して評価し、再改良するといった方法を取らざるを得ない。これでは開発のスピードが遅くなるとともに、理論的裏付けの不足した開発となっている。 そこでゴムの動的弾性率E'および動的損失E" からμ-V特性を予測できる計算式（すべり接触面ドライ状態）を提案する。