眼底カメラ光学系と対物レンズの設計

摘要

眼底は人間など晴乳類において直接血管を観察できる唯一の部位であり，眼底カメラにてその血管を観察·記録することが出来る。したがって，眼底カメラは，虹彩を通して網膜疾患を観察·記録するために使われる眼科には不可欠の器械である。また，眼科的疾患を対象とするだけでなく，全身的な病気すなわち“生活習慣痛である糖尿病”の経過観察を行なう目的で内科においても使用される。近年，糖尿病患者の増加と共に糖尿病性網膜症を原因とする失明が増加しており，失明に至らないためには早期発見が必要である。眼底を光学的に観察する試みは，今から約160年前に始まったが，最初から眼底カメラが使用された訳ではなく，直像鏡と倒像鏡の改良形として眼底カメラが開発された。そこで，本稿ではまずは直像鏡と倒像鏡について説明する。