ハイブリッド自動車の燃費最適化制御器設計－同時摂動最適化によるモデルフリーアプローチ

摘要

本論文では，このベンチマーク問題の検討を行ない，実用的な解を与えることを目的としている．一般に，制御系設計にあたっては，制御対象のモデルが重要な役割を演じるが，その反面，モデル開発には多大な人的·時間的コストを要することが知られている．また，対象への深い知識も要求される．本論文では，このような事情を考慮し，モデルを用いないモデルフリーの設計法によって，このベンチマーク問題の解を与えることを試みる．特に，同時摂動最適化と呼ばれる最適化法をこのベンチマーク問題のために改良した設計アルゴリズムを提案する．そして，この提案法によって，ベンチマーク問題とともに提供されているサンプル制御器と比較し，約44％もの燃費改善を行なう制御器が得られることを示す．最後に，つぎの点を注意しておく．著者らの知る限り，現時点において，本ベンチマーク問題に対する解として公表されているものは見当たらない．したがって，本論文では，サンプル制御器との比較によって提案手法の有効性を示している．また，本論文の成果がベンチマーク問題の第一番目の解として，ほかの成果への基準となることが期待される．