可変ばね剛性機構を利用した微小重力環境における質量測定器の開発

摘要

本研究では，微小重力環境における質量測定法として，反共振現象を可変ばね剛性機構により実現する方法を提案する．この方法では，モータ角と可変ばね剛性を制御することで，システムを目標入力周波数での反共振状態へ収束させる．被測定物体の質量は，反共振状態における弾性体の剛性と目標周波数から測定する．本手法では，質量測定に必要なシステムのパラメータは弾性体の剛性のみであり，他のシステムパラメータを必要としない．さらに，従来の固有振動数を計測する方法や共振状態の振幅を計測する方法と違い目標とする反共振状態の振幅と周期の両方が任意に選べるため，測定域がこれらにより制限されない利点をもつ．また，宇宙構造物では振動が問題となるが，本手法では反共振状態の振幅を小さく設定できるため，装置外部への振動伝播の点でも宇宙構造物内での使用に適している．