発達性読み書き障害児を対象とした文字単位の音読時間計測によるひらがな読み能力の計測手法

摘要

本研究では，ひらがな文字の音読時間を精度良く測定し，その結果に対して健常群と読み書き障害児の統計学的な検討を行なった．その結果，健常成人と読み書き障害児，健常児と読み書き障害児の平均音読時間の間に有意差が確認された．また，音読時間に対する文字の傾向からは，健常成人，健常児および読み書き障害児においてそれぞれ直音と拗音の違いが音読時間に影響を及ぼす可能性が示唆された．これらのことから，本システムは読み書き障害に対する教育や医療の現場において，彼らの読み能力を評価するとともに，訓練計画を立てるための指標を文字単位での音読時間を測定することで提供することができた．本システムにおける今後の課題としてaccuracyデータ計測が考えられ，健常群と読み書き障害群における読みのaccuracyについて検討していくことが今後の展望として挙げられた．