中小製造業におけるネット経営－第15回（最終回）IT活用の重要性と戦略展開への道筋：仕事の仕組みづくりを変えてこその情報化。効果判定は経営課題解決の達成度で

摘要

不況が続く日本経済。 物作りの世界も下降曲線を描いて久しいが、ここにきて明るい兆しも見え始めてきている。 経済産業省が1月に発表した鉱工業生産指数（速報）によると、2001年12月の生産指数（1995年＝100）は前月比2.1％プラスとなり、92.9と4カ月ぶりに上昇に転じた。 パソコンや携帯電話向け液晶素子の国内需要が拡大したことが要因として大きい。 同じ時期、電子情報技術産業協会が発表した今年の電子工業国内生産の見通しでは、電子機器の在庫調整や半導体市況の回復で年後半から好転すると予測、前年比0.7％増の22兆3201億円と微増ながらもプラスに転じるとの見方を示した。 このように、IT関連の物作りを中心に製造業も底上げを図る環境が整いつつあり、研究開発とそのアラウンドニーズをサポートする中小製造業の役割はきわめて重要なものとなってくる。 その期待に応えるためにも生産性向上や経営効率化のための情報化投資は怠ってはならない。 ITをベースに事業発展の枠組みを整備していくことは依然として有効な手立てである。中小製造業の間ではこのところ情報化投資への意欲が減退している感は否めないが、ネット経営の本質的な重要性は一貫して変わらないのである。これを再認識して、いま一度原点に返り、勝利を呼び込む方程式を構築すべきときがきたといえる。 そこで今回は本シリーズの総括として中小製造業におけるIT活用の重要性とともに戦略展開への基本的道筋について改めて考察することとし、ITローディネータ協会のインストラクターを務めるプロセス経営研究所の川内晟宏氏にそのポイントをお伺いしてみることにした。