レアメタルの新規用途が広がる--プラスチックコーティングから半導体まで

摘要

レアメタルの一つであるハフニウム（Hf）は原子力潜水艦用原子炉の制御棒や，光ファイバー用材料として古くから用いられているレアメタルである。 このハフニウムが，プラスチックなどの透明材料の表面を強くするということで近年注目されるようになってきた。 例えば日本大学の西出利一教授は，ハフニウム原料の水溶液をスプレーで塗布し，紫外線を照射することで，厚さ1μm程度の薄い膜をプラスチック表面上に形成することで傷が付きにくくなる技術を開発した。 バイクの風防やヘルメットのシールドには従来からポリカーボネイトが多く使われているが，その表面を透明なセラミックスであるハフニウムで覆うことで，従来品とは格段に傷がつきにくい製品となる。 また，このハフニウム原料液は水溶液から作られるのでト原子レベルのすき間がある柔軟なセラミックスができ，一般に使われる茶わんのように衝撃が加わると一気に割れる心配もない。さらに，ハフニウムには水をはじく性質もあるので,雨の日でも見やすく，小石などが当たっても傷付かない風防やヘルメットが実現する可能性がある。