発破振動予測シミュレーションに必要な各種特性値の決定および発破振動予測式に関する研究

摘要

露天掘り鉱山においては，発破振動や飛石などの環境·保安問題で発破による採掘作業が大きく制限されることがあり，これらを考慮しつつ発破効果を最大にする最適な発破規格を選定しかナればならない。爆薬が発破孔内で起爆されると，発破孔内で高圧力状態が発生して周辺岩盤へ応力波が伝播し，この応力波により周辺岩盤や構造物が振動する。発破振動による構造物への影響について検討する場合，構造物への影響と振動速度の間に相関があるとされていることから，構造物に対する振動許容値としては一般的に最大粒子速度（Peak Particle Velocity；以下，PPV）が用いられる。発破振動は，火薬類の特性，薬量，起爆方法，てん塞状態と爆薬の密閉状態，自由面の数，距離，地質条件等の多くの要因が複雑に影響するため，これら全ての条件に適用できる普遍的な発破振動の関係式を求めることは困難であり，これまで発破振動の予測式は現場ごとに経験的に求められてきている。しかし，発破振動予測式の構築には，多大な労力が必要となるため，普遍的かつ汎用性のある発破振動予測式を開発することが必要不可欠である。また，これまで多くの発破振動予測式が提案されてきたが，発破孔に近い場所ではこれらの式を用いても的確な振動予測が困難であることが指摘されている。