茶園に生息するクモ類の種類と農薬の影響

摘要

茶園における農薬散布が土着天敵類であるクモ類の発生に影響を与えることは、いくつかの研究で指摘されており、化学農薬を削減した場合、クモ類の多様性が保全.向上すると考えられます。また、クモ類がチヤの害虫であるチヤノミドリヒメョコバイやチヤノコカクモンハマキ等を捕食することも報告されており、化学農薬を削減した環境保全型茶園で有用な土着天敵として機能している可能性があります。今回は、薬剤防除圧の低い環境保全型茶園におけるクモ類の保護効果に関する知見を得ることを目的として、薬剤防除圧の異なる茶園においてクモ類の種類を調査しました。また、農薬の影響を受けやすいと推測されるクモ類の捕獲消長についても明らかにしたので、その結果を報告します。なお、本研究は、農林水産省委託プロジェクト「農業に有用な生物多様性の指標及び評価手法の開発(1152)」の助成を受けて実施しました。