バーク抽出物のマウスに対する効果

摘要

木材の製材過程で生じる樹皮廃棄物（バーク）は、牛の管理を容易にする床敷きとして、牛飼育農家に使用されている。 しかし、なぜバークが牛の管理を容易にするのか、その科学的根拠はよく解っていない。 この研究では、バ一クのにおい成分のアロマセラピー効果に着目した。それを解明するための第一段階として、杉バークの匂い成分がマウスの行動や情緒に及ぼす影響について調べ、牛への有効性について考察した。 ˉ蕙Ε攻暴`ジの一偶に杉バーク抽出物（BEF）10 mu l 上を滴下一し、マウスの行動をビデオカメラで撮影した。BEFに暴露すると、マウスの運動量は大きく増加し、同時に、ケ一ジ中央部を走行する割合も増加した。 また、熱画像の解析から、マウスの体表温度が上昇していることが明らかになった。 これらのことは、BEFがマウスの不安を緩和し、代謝を活性化することを示している。 　 つぎに、BEFのストレスに対する効果を調べた。 拘束ストレスを受けたマウスは、ケージ中央部の滞在時間が極端に短くなり、探索行動をしなくなった。これは、強い不安状態を示している。 しかし、拘束ストレスを受けた後でBEFに暴露したマウスは、不安状態を示す兆候は全くみられず、運動量の増加と体表温度の上昇が見られた。 BEFは、拘束ストレスを緩和する効果も持っていると考えられる。以上の結果から、BEFは牛に対しても同様の効果を持っている可一能性がある。