高性能蒸気インジェクタによる革新的簡素化原子力発電プラントの技術開発（超音速蒸気インジェクタの可視化試験による作動特性評価）

摘要

SIの適用例の一つとして、原子炉緊急時の冷却用の簡素化格納容器冷却系システムに適用する事が考えられている。 これは、配管が損傷し冷却材が流出する冷却材喪失事故(LOCA)が発生した場合、地上に設置された水タンクより供給される水と建屋上部に設けられたプールより発生する蒸気を用いてSIを起動させ、原子炉を冷却するシステムである。このシステムはポンプ等の大型回転機器を削減出来ることから、実機に適用することで、設備の大幅な簡素化や物量の削減に繋がるものと期待されている。 しかしながら、SIの動作状態を支配する、強いせん断力を受ける乱流噴流への直接接触凝縮に関する研究はこれまで殆ど行われてきていない。 また実機に適用する際、不凝縮性ガスが混入する可能性も考えられるものの、この不凝縮性ガスが作動状態に及ぼす影響についても未解明な状態となっている。 現在、実機に適用する上で、SIの作動特性に関するより詳細な実験情報が求められている。本研究では、可視可能で詳細計測も可能なSIを用いることで、内部流動の観察ならびに温度と圧力の局所分布の計測を行う事によってSIの基本的な作動特性に関する実験情報を収集し、検証することともに、蒸気中に不凝縮性ガスである空気を混入した実験を行うことによって、SIに及ぼす不凝縮性ガスの影響を実験的に検証することとした。