漁場環境の特性: 東シナ海の生産力

摘要

独立栄養生物が無機物を有機物に変換する基礎生産（一次生産ともいう.primary production)は食物連鎖の起点であ り，動物プランクトンや魚類などの高次生物の支えとなる. 海洋において基礎生産は主として植物プランクトンにより 行われている.陸棚域は，外洋域と比較すると基礎生産力が高く，その 面積は全海洋の8%に過ぎないにもかかわらず，基礎生産 量は全海洋の18-33%を占めることが知られている（Wol-last, 1991).今回対象とする東シナ海は広大な陸棚域をも ち，MASFLEX (Marginal Sea Flux Experiment)やGCMAPS (Global Carbon Cycle andRelated Mapping based on Satellite Imagery Program)といったプロジェクトにより，基礎生産 が測定されてきた(Hama et al" 1997; Yokouchi et al" 2006). しかし，船による基礎生産量の測定には手間と時間がか かり，その空間分布や時間変動を把握することは難しい.