マサバ太平洋系群、対馬暖流系群の資源の長期変動と近年の動態

摘要

我が国周辺のマサバは，黒潮周辺で産卵する太平洋系群と 対馬暖流域で産卵する対馬暖流系群とに分けて資源評価されている.とくにマサバ太平洋系群は，1970年代以降，資源量が大きく変動し（図1)，おもにまき網による漁獲 量が大きく変化して社会へ影響を与えてきた.資源量変動 は年々の加入量の変化と漁獲による減少が累積したもので ある.加入量の変化は，おもに海洋環境によって変化する再生産成功率（加入量/親魚量，RPS)と漁獲によって変 化する親魚量による.マサバの資源量変動は，以下のよう に漁獲による親魚量の変化によるところが大きく，資源へ の海洋環境の影響はRPSの変動で検討する方がよい.本報 では，渡邊ほか（2011)および由上ほか（2011)の計算結 果を用いて，マサバ資源の動態を検討した.