糖質関連素材の研究開発動向Ⅱ結晶1-ケストース（GF_2）の開発

摘要

フラクトオリゴ糖（以下FOS）は、タマネギ、ゴボウ、バナナなどに含まれる天然の難消化性オリゴ糖である。 FOSは、ショ糖に似た甘味を有し、整腸作用、ミネラル吸収促進、免疫賦清作用、脂質代謝改善などショ糖にはない優れた生理機能を有する。 1983年に明治製菓（株）がショ糖を原料とする酵素反応を利用した製造法を確立し、FOSの工業生産を開始した。 FOSは、1－ケストース（GF_2）、ニストース（GF_3）、1~Fフルクトシルニストース（GF_4）を主成分とするオリゴ糖の混合物であり、その構造は図1に示したように、ショ糖のフルクトシル残基に1～3分子のフルクトースがβ結合したオリゴ糖である。 FOSの製品形態はシロップ、頼粒、粉末で、FOS含有率55％以上の「メイオリゴG」、FOS含有率95％以上の「メイオリゴp」が市販されている。 これらの製品は、酵素反応液を脱色、脱塩などの精製工程、さらには疑似移動床クロマトグラフィーを用いて未反応のショ糖および副生するグルコースを除くクロマト分離工程を経て製造される（表1）。