常圧過熱水蒸気の食品への利用

摘要

常圧過熱水蒸気は別に新しい技術というものではない。 活性炭の賦活処理では、早くから用いられていたものである。 しかし、食品への利用となると、その例は少なく、商業的規模では、粉粒体の殺菌に使われたに過ぎない。 最近になって、食品の解凍や焼成操作に、コマシヤルプラントによる操業を始め好評を得ている。 この推進の役目を果たしたのは、広島のエンジニヤリング会社で、数年前に、この水蒸気に着目し、食品への利用について試験を始め、筆者は、広島県の技術アドバイザーとして委嘱を受けて、その試験計画に参画したり、試験に立ち会ったりしてきた。 この結果、食品の蒸煮、焼成、解凍、乾燥、殺菌操作にこの過熱水蒸気の長所を生かした操作のできる見通しを得、多少の知識も得たと思うので、まとめて紹介することにする。 ただ、これらの試験はどうしても実用化の意識が先走って、場当たり的なものが多く、基礎的研究の不足の指摘を受けることを承知の上で、敢えて紹介に踏み切ることにした。