食品添加物のリスクコミコ二ケーション新たな視点

摘要

食品添加物は食品の機能を高めるものであり、特に保存料は「食中毒という食品由来最大のリスク」を下げるために、そもそも適切に使うベきものである。しかし、近年「無添加商法」というマ—ケティングの手法が、食品の付加価値化戦略の一つとしてとられることがあり、結果として「無添加は安全」「添加物は危険」という誤つた風潮が一部広まつている。この背景には、添加物を危険視することで無添加の商品を比較的高価に売ろうとする企業や組織の思惑があるが、それはあまり一般に理解されていない。これは「マッチポンプ商法」という古典的なマ—ケティング方法である。安全を売り物にするためには、そうでない商品を「危険である」という。無添加というのは、あたかも自然=天然=安全というようなィメ—ジであるかのように振る舞われ、消費者にとつても、レ地よく鏗曰く。そのため一部のマスメディアは、科学的事実を無視し、無添加=安全(善)、添加物=危険(悪)のような図式を意図的か意図的でないかにかかわらず、積極的に世の中に示すことがある。またそのような風潮に一部の消費者団体や政治家も便乗することもあり、結果として非常に巿場が「ゆがんだ状態」になっていることを無視してはいけない。巿場のゆがみは、消費者にとっても企業にとつても大きな経済損失を生んでいるのである。