モルフォチョウの青色の謎に魅せられて

摘要

筆者とモルフォチョウ（図la)との出会いはもう10年 以上も前のことになる.といっても生きたモルフォチヨ ゥに出会つたわけでなく ，標本を間近で見たというだけ のことだが.筆者はレーザ一光を使った光物理学に永年 携わってきたのだが，一方では，野外に出て自然観察するのが趣味だつた.観察が高じて蛾の蒐集を始めた頃， 筆者の住んでいる所の隣町の教育委員会から里山の自然 調查をしたいので協力してほしいという申し出があつ た.筆者は喜んで引き受け，2年間毎月1回，チョウとト ンボを中心に同じルートを歩いて種類と数を記録する ル一トセンサス調查を行った.その調査に参加されてい た別の調査員の方から，光の研究をされているのなら， 昆虫の輝きがどうして出てくるのか調べてみませんかと 言われて，モルフォチョウやタマムシなど何種類かの標 本をいただいたのが始まりである.