カラマツの細胞壁率に及ぼす仮道管横断面寸法の影響

摘要

仮道管横断面寸法相互の関係及びそれらの細胞壁率との関係を推定することを目的に、カラマツ産地試験林から5産地51個体を試料として最外層の5年輪部分について仮道管横断面寸法などの細胞構造指標を測定した。 早材晩材ともに、仮道管接線径、細胞壁断面積の産地ごとの平均値に差がみとめられた。 その一方で、容積密度の指標となる細胞壁率については産地間で差がみられなかった。 細胞壁率に対する仮道管寸法の寄与は、早材部では仮道管断面積、仮道管直径の寄与が大きく、晩材部では1細胞あたりの細胞壁量の寄与が大きかった。 仮道管横断面寸法には産地間差がみとめられたのに対して、細胞壁率には差がみられなかった理由として、仮道管断面積と細胞壁断面積との比率がほぼ一定であることがあげられる。