衛星写真を利用した東北森林管理局管内図の作成

摘要

技術革新によって、コンピュータ上で地理情報システム（GIS）と呼ばれるソフトウェアを使えば、様々なデータを数値化してディスクに格納することが簡単にできるようになった。 GISを使えば、格納したデータを加工して様々な主題図を作成することや、森林資源管理に必要な情報を集約することもできる（Priceら，1994）。 一方、衛星センサにより地表面被覆を広域で同時に撮影できるようになって、約30年が経過した。 この臥　 センサの性能は向上し、様々な用途で衛星写真が用いられるようになっている。 衛星センサが観測する土地被覆の情報によって、森林の面的な広がりを把捉することが可能であり（長ら，1988；Gongら，1990；Waymanら，2001）、衛星写真や分類結果などに地理情報を重ねて表示し、位置情報を付加することもできる（加藤，1991；粟屋，1991）。 最初の日本列島の衛星デ」夕数値モザイクは、1980年代前半にランドサッ　 トマルチスペクトラルスキャナのデータを用いて作成された（福江，1993）。 当時はプログラムを自作し、ミニコンビュータを利用して作成されたが、現在は市販のソフトウェアとパーソナルコンビユータを用いてモザイクを作成できる。 しかし、森林管理署の規模で複数の衛星デートタをモザイクし、森林情報を重ねて印刷した例は国内では報告されていない。一方、筆者らは地理情報と衛星デートタや空中写真を鶴み合わせて森林管理へ活用する方法を提示していくことを目指している。 以上のような背景を踏まえて、森林管理局の管内全域を対象として、衛星写真上に森林管理署の管轄境界や国有林境界を重ねて表示し、衛星写真版の森林管内図を作成してその効用について検討した結果を報告する。