健全な自然観（森林観）を育成するための学校林の活用

摘要

子どもたちは生まれたときから都市生活に馴染み，森林から離れた生活をしている。 家庭から森林を訪れる機会は少なく，例え出かけても車で行き整備された遊歩道を少し歩くくらいであろう。 学校の遠足で森林を訪れる機会もあるが，森林そのものを観察するというものではないことが多い。 子どもたちは義務教育の9年間を通して，しっかりと森林について学ぶ機会はほとんどないのが現状である。 学ぶことなく健全な森林観は育ちようがない。 多くの子どもたちがスギの林を見て自然に生えていると思っていること一つをとっても，いかに子どもたちの森林に対する認識が希薄であるかがわかる。 国土の約68％が森林であるにもかかわらず，その森林に対する理解がはとんどないという恐ろしい状況である。 しかし，これが日本全国都市部に暮らす子どもたちの普通の姿である。 現在は都市部に限らず，農山村の子どもたちですら実情はほとんど変わらなくなってきている。