良い牛づくりのための飼育管理⑤

摘要

牛の「妊娠、出産、子育て」は人間同様、大変な労力を必要とする。従って、出産を控えた母牛に対しては、なるべく快適な環境を与える必要がある。 牛を擬人化しているのでは？ と思われるかもしれないが、これは決して過保護にして甘やかすという意味ではない。 子牛の項でも述べたが（9月号）、牛はストレスに対して意外に敏感である。 分娩前にはとくに神経質になりやすいので、過剰なストレスをかけないように注意をしなくてはならない。 分娩前後のストレスは、乳質の変化などを通して子牛の体にそのまま影響を及ぼす恐れがある。 子牛の健康管理は、分娩前からすでに始まっているのである。 具体的には、十分な広さの快適な分娩舎を用意し、早めに母牛を移すと良い。 分娩舎に移すことで母牛の状態を観察しやすくなり、管理に反映できるという利点もある。 せめて出産1カ月前までには分娩舎に移し、管理者、牛ともに出産の心構えをすることが望ましい。