臨床科学レベル引き上げ シーズの自主開発大学における臨床試験

摘要

「臨床試験は大学の使命」。この掛け声の下、日本の大 学でも世界に通用するハイレベルな臨床試験の実施体制 を整えようと、試,験環境の改善と臨床科学のレベルアツプが図られている。2003年に策定された「全国治験活 性化3力年計画」などの国の施策も追い風になった。大手製薬企業も、国際共同試験に日本の患者を早い段 階から組み込み始めている。ドラッグラグを軽減する下 地は整ってきたといえる。一方、日本の研究者の間には、 伝統的に臨床科学を重視しない傾向があつた。このため、 質の良いデータを期間内に得る意識や技術が不足しているという課題がある。これを解決するためには、研究機 関であり教育機関でもある大学で、高い精度の臨床デー タを収集し、正確なデータ解析をすることが一番の対策 になる。そう考えた医療者ら力5行動を起こしたのだ。大学で臨床試験を実施し、医学部や薬学部の学生や研 究者に臨床試験の知識と経験を獲得させれば、的確なプ ロトコルを設計し、薬事申請に必要なデータを無駄なく 収集できる人材も育成できる。そのような人材は、医薬 品医療機器総合機構（PMDA)など薬事審査をする側 も必要としている。社会からの大学への期待は大きい。