沖緙における侵入害虫ミツユビナミハダ二の 分布拡大ならびに本種沖縛個体群に対する 各種農薬の殺虫効果

摘要

ミツュビナミハタ、二 Tetnmychus evansi Baker & Pritchard (ダニ 目:ハダニ科)(以下, ミツュビ)は, ナス科植物を主要寄主とし, 南ァメリカ起源とされる重要害虫であり, 世界各地における侵 入、定着が確認されてきた(後藤, 2010; Boubou et al.,2011).本 種はTetranychus属のハダ二類の中でも増殖力が高く (小坪ら,2004; Gotoh et al.,2010), 植物体を枯死させるほど多発すること がしばしばあり, アフリカではトマトに顕著な減収をもたらして いる(たとえば, Saunyama and Knapp, 2003).また, 本種に対す る既存の天敵カブリダ二製剤の効果が低いことが知られている (Escudero and Ferragut, 2005; Koller et al.,2007).これらの事実 から, 世界各地において本種の侵入や被害拡大が警戒されてい る.日本においては, 本種は2001-2002年に本州のナス科雑草 から発見された(大橋ら, 2003)のち, 2007年には九州, 2008年 には沖絹の伊良部島における発生が確認され(池島ら, 2009a), 2010年には, さらに南に位置する石垣島のナスSofarara melon-gena L.からも発見された(大野ら, 2011).石垣島で寄生が確認 ざれたナスは, 沖繩本島から導入した苗を定植して間もないもの であったため, 本種はすでに沖網本島に侵入している可能性が指 摘された(大野ら, 2011).沖縛本島はナス科作物を含む野菜類 の経済栽培圃場を多く擁するため, 被害警戒のために本種の発生 状況の早急な調査, および沖網に発生している個体群に対する農 薬の殺虫効果に関する情報が必要となった.そこで今回, 沖耩で 経済栽培が行われてtゝる主要ナス科作物の施設栽培圃場(以下, 施設), およびナス科の露地作物や雑草を対象に, 沖繩全域にわ たってミツユビの発生状況を調べ, さらに今回発見された本種の 1個体群に対する各種農薬の殺虫効果を室内実験によって明らか にしたため, ここにその結果を報告する.