ブ夕の繁殖，特に先端技術の開発と その応用に関する研究

摘要

繁殖は養豚経営の基礎となる重要な技術であり. 優れた繁殖技術なくして養豚経営の成功も望めな い。代表的な繁殖技術の一つに人工授精がある。日 本におけるブ夕の人工授精技術の研究は，昭和の初めころに開始された。昭和30年代にランドレース 種などの大型種が導入され，その増殖のために人工 授精の利用が進み，ピーク時の昭和39-40年には 約22%の普及率となった。しかしその後，規模の 拡大や一貫経営の増加に伴い，各農場で雄ブタを繋 養するようになり，人工授精の利用率は減少した。 ブ夕の人工授精が，再び本格的に利用されるように なつたのは比較的最近のことであり，2009年度の普 及率は43.9% (利用農場の割合）となっている。保 存液などの改良に伴う利用期間の増加，宅配便など を利用した液状精液の流通，飼養規模のさらなる拡大に伴うスケールメリットの増加，慢性疾病や伝染 性疾病の蔓延防止効果などが認識されたためであ る。技術の性格によっても異なる力5,—つの技術が 開発され，普及し.定着するためには，技術改良の 努力を伴った長い年月を必要とするものである。