水質検査キットと自作簡易比色計による土壌の 可給態ホウ素の測定法

摘要

マンゴ一はホウ素が不足すると果実の背部がくぽむ症状 がみられ，幼果へのホウ砂水溶液の散布が有効である（上之菌ら，2010).一方，作物に対する土壌中の可給態ホウ 素は0.4 mg kg~(-1)以下で欠乏症が出やすく，適正含量範囲 は0.8-2.0mgkg~(-1)と狭く， 7.0 mg kg~(-1)以上だと過剰害 が出やすい（高橋ら，1980)とされている.このため，幼 果ゃ土壌への過剰なホウ砂の施用により本県の一部のマン ゴ一産地で，葉先周辺が褐変し，症状が激しい場合は落葉 するホウ素過剰症が発生している（鹿農開総セ，2010).これらの対策のためには，先ず，ホウ砂水溶液の適正散 布量や土壌へのホゥ砂の適正施用量を守ることが重要で あり，さらに，定期的な土壌分析による可給態ホウ素含量 の監視が必要である.土壌の可給態ホウ素の比色分析の 従来法はァゾメチンH法，クルクミン法（日本土壌協会， 2001)およびクルクミンシユウ酸改良法（秋友ら2007) 等がある.いずれの方法においても，可糸合態ホウ素の測定 には熱水による抽出法がとられている.このため，抽出に はガラスビ一力一は使用できず，熱水でホウ素を溶出しな いフッ素樹脂（PTFE)製ビーカーを用いる.比色定量に 分光光度計が必要であり，高価な器具や高額な分析機器が 必要であり，試薬の調製や分析手順も煩雑である.このた め，農政普及課や農協等の土壌診断室では測定は困難であ る.民間の分析センタ一に分析を依頼すると1検体1成分 で4，500円程度を要する.