ボルドー液散布リンゴ園土壌での銅の蓄積と存在形態

摘要

1882年にフランスのMillardetによって発明されたボルドー液（硫酸銅と石灰の混合溶液）は，日本では1892年に紹介され，1897年に初めてブドウ園にて使用されたと言われている．1900年代に有効な殺菌剤として，ブドウ，リンゴ，ナシ，カソキツ，カキ，ビワなどへの散布が奨励され，一般には1910年代に普及し，その後長期間にわたり使用された．その結果，果樹園に鋼が蓄積しているとの報告は多い．日本国内では主要リンゴ産地の表層0～15 cmおよび下層30～40 cmで7～400 mg kg~(-1)，青森県のリンゴ園表層0～15cmで31～702 mg kg~(-1)（うち沖積土31～110 mg kg~(-1)，黒ボク土329～702 mg kg~(-1)），山梨県のブドウ園作土で24～816 mg kg~(-1)，青森のリンゴ園表層0～10 cmの最大値が黒ボク土で1，200 mg kg~(-1)（平均750 mg kg~(-1)），沖積土で750 mg kg~(-1)（平均444 mg kg~(-1)），残債土で889 mg kg~(-1)（平均325 mg kg~(-1)）などの銅の蓄積が報告されている．海外においても，ボルドー液散布ブドウ園での銅蓄積について多くの報告がある．フランスのブドウ園の表層0～15 cmで14～251 mg kg~(-1)，表層で22～398 mg kg~(-1)，Champagne地方のブドウ園表層0～10 cmで248～378 mg kg~(-1)，オーストラリアVictoriaのブドウ園表層0～1 cmで55～249 mg kg~(-1)，スペインGaliciaのブドウ図表層0～20 cmで40～301 mg kg~(-1)などである．