豚ぶんペレット堆肥の畑土壌中における肥料成分の溶出特性

摘要

豚ぶん堆肥をエクストルーダーにより成型したペレット堆肥の畑土壌条件での分解及び肥料成分の溶出特性と植物に対する生育障害発生抑制効果について検討し，以下の結果を得た．1）畑土壌中においてペレット堆肥ほ形状を長期間維持しつつ表面から分解が進むこと，また，原料堆肥に比べて施用後1カ月以内の急激な分解が抑制される結果を示した．2）ペレット堆肥の窒素の無機化パターンは原料堆肥と同じく単純型に適合し，無機化速度は原料堆肥とほぼ同等であった．3）ペレット堆肥でほ原料堆肥に比べて硝化が抑制され，ペレットの直径が大きいほど硝化抑制効果ほ高く長期間持続する特徴を示した．4）原料堆肥では施肥直後の潅水によりカリウムが多量に溶出するのに対し，ペレット堆肥では溶出が抑制された．また，二価カチオン（カルシウム及びマグネシウム）の溶出はペレット堆肥では原料堆肥に比べて溶出時期の遅延が認められ，溶出液中の無機態窒素量に占める硝酸態窒素量の割合がおおむね50％を超えると二価の塩基溶出量が急増した．5）未熟堆肥を施用した場合の発芽阻害，生育障害の発生は成型化により軽減された．6）堆肥成型による硝化抑制効果，塩基溶出抑制効果，生育障害発生抑制効果ほ，ペレット堆肥が土壌中で形状を維持したまま緩やかに分解するため，生育阻害物質の溶出が抑制されること，また，易分解性有機物の分解に伴いペレット内部が嫌気的になるとともに，発生したアンモニアによるpH上昇等の影響により硝化が抑制され，硝酸により溶出される二価のカチオンも溶出時期が遅延したものと考えられた．なお，本効果ほペレットの直径が大きいほど顕著となった．