環境モニタリングの意義と問題点新しい環境モニタリングの方法

摘要

1953-1960年にかけて熊本県水俣湾周辺で多発した 水俣病は.魚介類に蓄積されたメチル水銀化合物を人が 経口摂取したことにより起こつた中枢神経系疾患である [1].コメ糠油事件（1968年）では，食用油の製造過程 でポリ塩化ビフヱニールが油に混入し，多くの人に健康 被害を招いた[2].これらの事件では，人への被害が明 らかになる前に，水俣病においてはメチル水銀を蓄積し た魚介類を食べた水鳥や猫などの動物に，コメ糠油事件 では汚染された油を含む飼料を食べた鶏に異変が起こつ ていた[3]ことがすでに明らかになつている.これら のように環境中に拡散された，あるいは食品を汚染した 何らかの化学物質が，多くの人の健康に重篤な被害を与 える前に，人を取り巻く動物たちに異変を起こさせる場 合があるという事実は看過することはできない.