気象庁観測データを用いたWBGTの推定とその精度

摘要

【はじめに】熱中症の危険度を表す指標として用いられるWBGT(Wet-bulb Globe Temperature)は、 「環萝省熱中症予防情報サイト」(http://www.nies.go.ip/health/HeatStroke/)などで、観測値や予測 値が提供されており、熱中症に対する関心の高まりに併せて、一般の方々にも徐々に浸透しつつある。気象データを取り扱う際には、気象庁観測データを利用する場合が圧倒的に多いことから、気象庁 の観測データ、および、気象庁再解析値から簡易にWBGT値を求める方法について検討した。 【方法】WBGTは、乾球温度、湿球温度、黒球温度より計算される。乾球温度は気温そのものである が、湿球温度は、理論的な近似式（例えばIribarne1981)により乾球温度、相対湿度、気圧から求め られる。一方、黒球温度は理論的に推定することもできるが、必要とするすべてのパラメータを精度 良く観測することは難しく、黒球温度に大きく影響し、かつ、気象庁の観測項目である、気温、全天 日射量（以下、「日射量」とする）および風速から経験式により推定するのが現実的である。ここでは、 2007,2008年夏期晴天日の気象庁露場（東京'新潟、名古屋'大阪'福岡'広島）における観測データから 推算（10分間隔）した下式により求めた。