インスリン様成長因子の生理活性の調節機構

摘要

インスリン様成長因子（Insulin－like growth factors; IGFs）は，肝臓をはじめとした多くの組織や細胞で生産されているペプチド成長因子である．IGFsは，いろいろな細胞の増殖，分化に必須であり，さらに種々の臓器の機能維持に重要な役割を果たしていることが知られている．近年になり，IGFsの生理活性は，細胞内，細胞外の緻密なシステムによって，巧妙に制御されていることが，急速に明らかとなってきている．本稿では，IGFs，そして，その生理活性の調節に関わっているインスリン様成長因子結合タンパク質（Insulin－like growth factor－binding proteins; IGF－BPs）およびIGFレセプターの基本的な性質を解説するとともに，これらの因子がどのようにIGFsの生理活性を調節しているかについて，基礎研究の観点から，最近の研究成果を含め概説したい．なお，IGFsおよびその関連因子については，近年，多くの総説，著書が書かれており，さらに詳しい情報については，それらを参照していただければ幸いである．