花崗岩流域における渓流水質の時空間的変動－流域のスケールと水質との関係－

摘要

河州、湖沼の生態系保全を考える上で、その水源となる森林流域からの流出水質を正確に予測することが重要である。 山地流域内において水は斜面から流出し、流域スクールの拡大とともに合流して高次河川を形成する。 その過程では土壌層だけでなく、その下の岩盤層を通過してきた地下水も寄与することが明らかとなっており、このような岩盤層からの水の寄与が流出水の水質にも大きく影響を与えることが示さ打つつある（例えば、井倉、吉村，1992）。 しかし、土壌層と岩盤層の寄与を流域のスケールと関連づけて定量的に示した例は現時煮では見られない。 そこで本研究では、流域面積に着目し、0次斜面から5次河川までを対象に地中水、流出水を採水し、水質成分の空間分布を捉えた。 さらに、水質成分をトレーサーとして、流域のスケールに対する土壌層、岩盤層からの水の寄与を定量的に評価した。