種々の形態の移動時における羊、山羊混成群の移動行動

摘要

羊と山羊を混群で管理する形態は遊牧地域を初めとする世界各地で行われており、山羊がSpatialIeaderとなることから、群をまとめたり誘導する際に効果的であるとされている。しかし経験的に行われてきたこれらの技術を、両種のLeader－follower関係などの行動学的見地から裏付けた報告はほとんどない。前報（日蓄第92回大会）では、単に羊に山羊を加えるのみでは群内のLeader－follower関係は成立せず、1年以上の混群期間を経てようやく畜舎へ追い込まれる際に安定した移動順序が形成されることを報告した。しかしこれら移動順序は、移動の形態により異なることが牛や羊において知られている。 そこで本報では、前報で用いた羊、山羊混成群を用い、異なる3形態の移動時における種間のLeader－follower関係を、移動順序と移動時の個体間距離という点から比較検討を行つた。