農業用パイプラインの性能とリスク管理

摘要

わが国において，パイプラインが畑地潅漑に利用され始めて約40年以上が経過しているが，施設の老朽化などによる漏水事故が毎年発生している状況がある。 特に高圧のパイプライン地区では，漏水事故が人命や財産に対して，重大な二次的災害を引起こす危険性も考えられ，管理者は施設の日常点検や維持管理，さらには, 損害保険によるリスク分散を図っている。一方，性能設計を考える場合，すべての設計対象（人工構造物）には，その固着の本来性能の他に，信頼性。 安全性と経済性が要求される。 経済性の照査については，建設コストを中心に，積算などの定量的な評価が行われてきた。しかし，信頼性、安全性については，個々の構造要素の検討は行われてきたが，地域に広域に分布するパイプラインなどのネットワークを構成する大規模施設に対する，システム全体の解析事例は少ない。