IPCC報告（1996）をめぐって－気候変化影響研究部会解説－

摘要

1950年代に26億人であった世界の人口は，現在58億人に達し，21世紀の中頃には100億人に達すると予想されている。 人口の増加と人間活動の活発化に伴って，地球温暖化．オゾン層の破壊，酸性雨，森林破壊，砂漠化などの問題が生じており，地球環境の変化が懸念されている。気候変動に関する政府間パネル（IPCC）は，気候変動に関する利用可能な科学的知見の評価，気候変動の環境及び社会経済への影響の評価，及び対応戦略の策定を行うため，世界気象機関（WMO）と国連環境計画（UNEP）により1988年に設立された。 1PCC第一次報告書は1990年に完成し，「気候変動に関する国際連動枠組条約」の条約交渉における基礎としての役割を果たした。 その後もIPCCは同条約の進展に資するため，1992年に第一次報告書補遺を，また1994年には「気候変化1994：気候変化を引き起こす放射強制力及びIPCCIS92シナリオ」を完成させた。 1992年にIPCCは，1990年の第一次評価報告書に取り上げられた話題についての情報を更新するだけでなく，気候変化の経済的側面に関する技術的分野の話題も新たに盛り込んだ第二次報告書を1995年に完成し，1996年に刊行した。