地球温暖化と害虫発生

摘要

昨年2002年の世界の年平均気温は過去120年間の観測史上2番目に高い値であった。 日本の年平均気温も昨年は平年値を0．57℃上回り観測史上5番目の高さとなった。 過去100年間に世界の平均気温は約0日6℃，日本の平均気温は1℃上昇したという。 都市部ではさらに「ヒートアイランド現象」が加わるため，気温の上昇幅はその2倍以上にも達する。 二酸化炭素などの温室効果ガスの影響により，世界の気温は今後何世紀にもわたって上昇すると予想されている。 将来の気候変化は，討貴機上で全地球表面をグリッドに区切ってシミュレーションを行う「全球気候モデル」により予測されている。 引算機の性能が高まるにつれて全球気候モデルの予測精度もますます高まりつつある。 気候変動に関する政府間パネル（IPCC）は1996年に出版された第2次報告書において六つのシナリオ（IS92a－f）のもとでの気温の上昇幅を予測した。 その中では1990年から2100年までの上昇幅は1．0～3．5℃の範囲にあり，中庸シナリオIS92aめもとでは約2℃であると予測されていた。 しかし，2001年に出版されたIPCCの第3次報告書の中では気温上昇幅は高めに修正され1．4～5．8℃の範囲にあると予測された。 これは，第3次報告書で用いられた新しいシナリオのもとでは二酸化硫黄の排出量が低く見積もられていることが主として関係しているという。