大型苗を用いた育苗長期化による加温栽培水ナスの暖房コスト低減

摘要

水ナスは大阪府泉州地域の特産野菜で，果皮が柔らかく果実がみずみずしいことから，浅漬けに適したナスとして全国的に知られており，生産量や面積は増加傾向にある（写真1）。特に近年，泉州地域では加温半促成栽培が定着し，高値で取引される2月下旬からの早期出荷が行われている。加温半促成栽培では苗定植直後より3か月間以上，重油による栽培は場の加温が必要であるため∥，加温に必要な暖房コストは経営に大きな影響を及ぼす要因であり，暖房に利用する重油価格の上昇は経営を圧迫する。研究計画を策定した平成20年2月の段階では，暖房用の重油価格は平成17年の1．5倍以上に高騰していたが，平成21年2月の重油価格は平成17年の約1．2倍となっており，落ち着きを取り戻している2）。しかし，最近の重油高騰が示すように，社会情勢の変化により重油価格は急激に上昇する危険性をはらんでおり，安定　した暖房コストの削減技術が求められる。