農協組織二段階へ～先行県の模索

摘要

JA全農（全国農業協同組合連合会）と都道府県単位で経済事業を担ってきた経済連の組織統合の第一弾として、山陰地方では島根県のJA島根経済連と、鳥取県のJA県農とっとりが昨年10月、宮城経済連とともに合併し、1年が経過した。 全国連一県連－農協（1A）という戦後50年続いてきた事業、組織の三段階から、全国連声JAという二段階への移行は画期的。 今後に続く他の都道府県経済連と全農の合併ばかりでなく、信用事業でのJA県信連と農林中央金庫、共済事業でのJA県共済連とJA全共連（全国共済農業協同組合連合会）との合併の成否を占う意味でも注目される。合併を先行した理由は、着実にJAの広域合併が進展したからだが、高齢化や過疎化で農業生産の低迷が続く山陰地方独自の事情から組織をスリム化せざるを得ない側面もあった。事業競争力を強くし、合併によるメリットを組合員、JAに還元するという初期の目的も、まだ十分に達成されておらず、改革の真価が問われるのはこれからだ。