食業構造の変化と農業,農村金融の課題

摘要

農協が主導する「政策依存型小農金融」から大口の経営資金融資へと、農業金融は大きく様変わりしている。新しく形成されつつある多様な経営体を育成していくために必要な「農業, 農村金融」の可能性を探る。戦後1950年代から.60年代初頭にかけて形成された日本の農業金融システムは、いくつかの調整を伴いつつ、基本的な骨格は維持したままg年以上存続してきた。システムの特徴は、齋藤仁が適切に表現したように、政府と農協という政策的,人為的な組織によつて担われていた点にあつたが、システムは、農業の担い手としての零細.多数の家族経営を前提にしていた。ところが、近年、前提としての農業の担い手は「法人経営を含む多様な経営体」に大きく変わりつつある。