FTA/EPA戦略と中国農業

摘要

急速な経済成長を続ける中国は、WTO加盟、各国とのFTAEPA締結などの貿易自由化を進め、農産物の輸出国から純輸入国となる一方で、農産物の輸出拡大に力を入れている。巨大な「胃袋」をもつ中国で、貿易自由化後の農業に何が起きたのだろうか。中国は2001年12月にWTO加盟を果たし、その後は2002年11月の-「中国ASEAN包括的経済協力枠組協定」を嚆矢として各国とのFTA締結に積極的にとりくんできた。そうしたなかで、中国の貿易はめざましい拡大を遂げており、農産物もその例外ではない。しかしながら、中国の一定の国家戦略にもとづいておこなわれているFTA締結の推進と、WTO加盟後の貿易環境の変化に対応して実施されている農産物の輸出推進政策とは、もともとの目的が異なっていることもあって、基本的にはそれぞれが個別に実施されている。そこで、本稿では、まず中国のFTA締結の現状とその目的を紹介したうえで、中国のWTO加盟後の農産物貿易、輸出推進政おについて述べることとしたい。