農村における食生活と健康: 「農村の食と生活と健康に関する意識調査」結果を中心に

摘要

「食」と「運動」は人が健康に生きるための基本 であり，より良い「食」は，提供される食物の安全 性と栄養学や医学に根ざした食育によって成り立つ（大庭2012).また，生活習慣病の予防、治療対 策は，これから医療が取り組むべき重要課題のひと つであり，その根幹は「食と生活」の改善である. 食を提供する農業と健康を担当する医療との連 携、協働は農村医学の根源的な課題であるとの認識 のもと，平成20年10月から「農村の食と健康に関 する研究」が日本農村医学会の4つ目の特別研究プ ロジェクトとして立ち上げられた.食と健康をめぐ る問題は，1)生活習慣病と関わる栄養素としての 食品摂取と健康，2)放射性物質，環境ホルモンや 農薬等による食品汚染および増加する食品添加物 と食の安全，3)地球規模での人口増多に伴う食糧 消費増加からみた食の自給，などがある.