施設土壌における養分蓄積の実態と適正管理に向けた戦略

摘要

持続的な作物生産を実施するには，土壌における 養分動態と，それが作物に及ぼす影響を適切に評価 し，栽培管理に活用する必要がある.特に施設栽培 では露地栽培に比べ集約的な生産が行われ，単位面 積あたりの資材投入量も多く，その分処理を間違え れぱ影響も大きい.また，生産現場では様々な有機 質資材や肥料が投入されるため，実際の適正管理は 複雑で難しい.一方で，ごく一部の篤農家では，集 約的かつ持続的な生産に成功している.その圃場で は土壌というよりも，むしろ作り込まれた"培地" という印象を受ける.施設土壤は塩類集積等の問題 も顕著になりやすいが，経験や技術により，それら を回避し多収に向けた制御も可能であることの証左である（中野2013, 2015).