野菜の収量と光合成産物の転流、分配〔8〕 －メロンの果実肥大における葉の役割と潅水量の影響－

摘要

果菜類における果実の品質の重要性は最終的な収量、収益に関わり，その重要性は大きい．メロンは，果実の品質の良否が収益性に直接的に影響を及ぼしている典型的な作物である．果実の品質に関わる事項は多岐にわたる．外観的には大きさ，形，色，ネットの粗密および盛り上がりなどで，内部的には肉質，色，香り，糖度等および醗酵の有無などがある．これらの中で，メロンに限らずほとんどの果菜類では果実糖度が最も重要と考えられる．糖度は果汁の糖の濃度でいわゆる甘味であり，相対的な指標である．すなわち，糖度は果実の肥大量（大部分は水分）の多少と光合成産物（糖）の果実内蓄積量の多少によって変化するものと考えられる．果実の糖度を高めるための栽培手段として水分制御が行われているが，その場合，果実の糖度は高まるが，肥大は抑制される傾向があると言われている．