新たな農業者年金制度の機能と農業者

摘要

公的年金は公的扶助ではなく，「保険」制度である．公的扶助は，現に生活困窮に陥った者に対する国家または地方公共団体が緊急的な救助として行う，他の社会保障給付が行われた後の最終的なセーフティネットである．一方，これとは異なり，現在の公的年金の考え方は，保険料を納めることによって国との実質的な契約を締結するものである．こうして，国民自らが高齢時の生活困窮を回避する，いわば自分で自分の身を守ることを行為するわけである．政府が公的年金として支援を行っているのは，保険に加入して自分の老後のリスクを自分で回避するという自助努力に対してなのである．