肥効調節型肥料を用いたシラネコムギの全量基肥栽培

摘要

宮城県ではコムギ栽培面積の90％以上が水田転換畑で作付けされており，水田の高度利用における一つの柱として位置づけられている．現在，宮城県のコムギ生産において主力品種となっているのはシラネコムギであり，その追肥体系は，幼穂形成期，減数分裂期，穂揃期の3回の窒素追肥を基本としている．これらの追肥は宮城県の水田転換畑においてシラネコムギの収量，品質を確保するためには必須であり，基本的に欠かすことはできない．しかし，これらの追肥作業は，天候や圃場条件により適期を逸しやすいばかりか，多大な労力が掛かることや水稲との作業競合も多いことから，追肥が実施されない事例も少なくない．そこで，追肥作業を省略しても，慣行追肥並みの収量，品質が確保できる施肥法を確立するため，肥効調節型肥料を用いたシラネコムギの全量基肥栽培について検討したので紹介する．